業務の自動化の際に生じる、コストのかかる問題を回避

稼動停止時間のリスクを緩和する4つの一般的な方法

ARBスマート一列化装置上の箱とポリ袋

「自動化」

「処理能力を向上し、切り替え回数を減らし、無駄を大幅に削減し、人件費を削減する」といった大きなメリットのある方法があると聞けば、すぐにその話に飛びつくのではないでしょうか?

ただし、生産性と効率を最適化する方法として自動化は有効とはいえ、新たな課題が伴うことも知っておく必要があります。最大の課題は、KPIに影響する稼動停止時間に対応することです。

機械が速いうえに信頼性が高くても、そのメンテナンス、修理、トラブルシューティングについては、単純に人員を増やしたり入れ替えたりする場合に比べ、時間がかかるうえ複雑です。

このことを念頭し、自動化に伴う稼動停止時間に対応するための一般的な方法4つを明確にしました。お客様の作業にはどの方法が最適でしょうか?

方法その1:予備の包装装置を設置する

1台で間にあう場合でも、稼働停止に備えて2台購入します。

通常の製造では、稼動停止時間を生じることなく作業するうえで、メインの機械で十分間に合います。しかし「バックアップ」機械(通常の作業中は未使用)を設置すれば、定期メンテナンス中や、メインの機械が故障した場合でも、作業を継続できます。

予備の機械を設置するのは、必要のない贅沢品を購入するように思えるかもしれません。コストが増え、貴重な設置面積をとります。しかしタイトな受注スケジュールや、製品の短い保存期間により絶えず生産が必要な場合、ソリューションとして正当化されます。

複雑な自動化機能を備えたシステム、特に、簡単には入手できない交換部品が使用されているシステムは、予備の包装装置システム設計の候補としても優れています。

方法その2:能力に余裕があり、上流をアキュムレーションする機能を備えた装置を設置する

この方法は、十分に設計された、自動化された包装ラインのほとんどで、ある程度は採用されています。

コストが非常にかかる稼動停止時間のある重要な機械を特定し、その上流と下流の機械を設計することで、重要な機械よりも高い率で製造するという考え方です。

このシンプルな考え方と、重要な機械および上流の機械と下流の機械の間で製品をアキュムレーションする方法を組み合わせれば、上流の機械が一時的に稼働停止になったとしても、重要な機械は、上流の機械から送られてくる、アキュムレーションされた製品を使用できます。同様に、下流の機械が一時的に稼働停止になった場合も、重要な機械は引き続き、下流のアキュムレーションに製品を堆積し続けることができます。

生産速度を徐々に変更して、重要な機械の上流が常に満たされ、下流が停止したときは上流が常に空になるようにします。

Brian Antkowiak
Brian Antkowiak
イントラロックスのレイアウト企画マネージャー

所望の生産速度を変更するために、予備の機械が必要になることもあります。ただし、前述した方法とは異なり、両機械ともに通常の生産で使用されます。

設置面積には制約があり、既存の工場を自動化する場合は特に、必要な数のアキュムレーション装置を設置することが、非現実的になる可能性があります。このような場合は、垂直アキュムレーターを設置します。このアキュムレーターは、スパイラルの形式(コンベアの回転棚)をとることができます。機械すべてが稼働している場合、パススルー機能を実現できます。

方法その3:手作業に切り替える

使用する頻度にもよりますが、自動化に伴う稼動停止時間に対応する方法としては最もコストがかからない方法だといえます。自動化されていない方法に切り替えて、製品をオフラインで梱包に回すだけなのでシンプルです。

自動化で現在採用されている梱包プロセスの多くは、以前は手作業で行われていました。機械が故障したら、人員を使用して安全に梱包できますが、あくまでも最終手段です。この方法の重要な特長は、十分なスペースが必要なこと、梱包ステーションが人間工学的に設計されていること、車両運行の管理と作業場に配置された人員とのやりとりのための安全計画があることです。

ただし、検討すべきこととしてはその他に、人員の確保があります。つまり、既存の従業員に必要に応じて日常の作業よりも手作業での梱包を優先させるか、第三者の作業者を即座に充当できる人材紹介会社を確保するかのいずれかです。

この方法のバリエーションの1つは、損傷のリスクの少ない、小さな製品を取り扱う際に一般的に使用されるものです。自動化された不良品振分けを使用し、オフラインの収納箱に製品を収集します。

ヒント:必要が生じた場合は、自動化された梱包プロセスを、手動による作業に切り替えます。

これにより作業者は、定期的に実施する洗浄や切り替えなどで、上流の機械が計画内または計画外で稼働停止したときに、収納箱から製品を手動で回収し、梱包ラインに戻すことができます。重要な機械が24時間365日稼働することが想定されていないような工場においては、アキュムレーションに追加するよりも経済的です。

方法その4:何もせず、稼動停止時間を許容する

処理能力と効率を重視するという考え方に反するように見えるかもしれませんが、何もしないことが最もコストがかからない方法ということがあります。

重要な注文に対応するために在庫を用意しており、信頼性が非常に高い機械を設置している工場では、予備の機械を設置するコストや、機械の故障中に要望に応じて手動で作業する場合に比べると、それほど頻繁には発生しない稼動停止時間によるコストは取るに足らないかもしれません。

こうした場合、機械が稼働している場合の処理能力目標を満たすようにラインを設計し、機械が故障したときの稼動停止時間で生じるコストを許容するのが最も現実的といえます。

何もしないと決めた場合、可能性のある稼動停止時間を考慮してKPIを調整することと、稼動停止時間が発生したときのコストと、前述した3つの方法を実施した場合のコストを継続的に比較するのが重要です。


梱包ラインにおける稼動停止時間のリスクの取り扱いという点については、製造を最大化する最良の方法はエンドユーザーごとに異なります。

製品の性質、自動化する梱包作業、製造スケジュール、機械の信頼性、作業者の手配、使用する必要がある設置面積によって変わってきます。

説明は以上です。作業を設計する際の参考にしていただければ幸いです。収益性が非常に高いラインをご検討の際は、イントラロックスの技術者にご相談ください。


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