低テンションまたはテンションレスにするメリット

ベルトの駆動システムには、少ないほどよい、または、ないほうがよいものがあります

しっかりテンションがかかったシステムからテンションレスシステムまでの段階範囲と、各段階で使用されるベルトを示した例

初期の製品搬送コンベアでは、ベルトは主に摩擦に依存して駆動されていました。そして、しっかりテンションのかかったそのようなシステムは今日も利用されていますが、コンベア技術は大きな進化を遂げてきました。

時が経つにつれ、OEMと食品加工業者は次々と、摩擦駆動のそのようなシステムからスプロケット駆動の低テンションまたはテンションレス技術のシステムへと移行するようになりました。

この2つのソリューションにはいったいどんな違いがあるのでしょうか?技術は、テンションのかかったシステムからどう進化していったのでしょう?

新コンベアの構築を計画しているお客様の工場にも、または、既存装置の改造を検討している工場にも、低テンションおよびテンションレスシステムがもたらすことができる操業効率面と食品安全面のメリットをまとめてみました。

操業効率

テンションシステムは、順調に運転するためにベルトを緊張させる必要があります。その方式をやめてみると、隠れていた数々のメリットがすぐさま現れます。

ベルトの寿命延長

ベルトシステムのテンションを低くする、または、なくしてしまえば、コンベア各部にかかる力が減少します。ベルトは楽に動けるようになり、その結果、寿命が延びます。スプロケット駆動の低テンションおよびテンションレスシステムがうまく機能できるのは、リターン側走行路に懸垂たるみが設けられているからです。

「重要なのは、それが2つの役目を果たしていることです。」と、イントラロックス欧州中東アフリカ担当アプリケーションエンジニアリングマネージャーのCornel de Langeは言います。「懸垂たるみはベルトが低テンションまたはテンションレスを維持する助けとなり、また、ベルトの伸びや収縮を許容します。」

コンベアベルトの懸垂たるみを測定する作業者と、ラベル表示された「ベルト上面走行路(キャリア側)」、「リターン側走行路」、「懸垂たるみ」

低テンションおよびテンションレスシステムにおける懸垂たるみは、熱サイクルでのベルト収納場所となります。

たとえば、衛生作業と生産の合間に温度が下がるとしましょう。ベルトは冷たくなるにつれて収縮し、コンベア上で短くなります。しかし、懸垂線内にたるんだベルトがあるので、足りなくなった長さが繰り出されて全周に行き渡り、システムは低テンションまたはテンションレスを維持できるというわけです。

リターン側走行路のこの懸垂たるみは、ベルトの緊張を解く機会も作っています。ベルト上面走行路(キャリア側)で荷重を受けたベルトにはテンションが生じます。しかし、駆動から切り離されたとたん、そのテンションはなくなるのです。

「いわば、週末に仕事を休むようなものです。」と、イントラロックスThermoDrive製品マネージャーのJim Honeycuttは説明します。「ベルトは月曜から金曜までベルト上面走行路(キャリア側)で働いて、リターン側走行路に入ったらリラックスして充電し、再びキャリア側へ出る準備を整えます。」 テンションシステムでは、ベルトは実質的に週7日働き、休養がまったくとれない状態にあります。寿命が短いのも当然です。

イントラロックスチームのひとことアドバイス: 改造の際は、変更について工場のメンテナンスチームと忘れずに連絡をとるようにしましょう。懸垂たるみが問題と誤認され、低テンションまたはテンションレスベルトシステムにテンションが加えられてしまうことがあります。

テークアップ装置の操作が不要

テンションのかかったベルトは定期的に調整する必要があります。オペレーターはテークアップ装置を使い、これくらいならベルトが滑ることはないと考えられる最適テンションを確立します。それでも、テンションは時間とともに変化するので、監視し管理する必要があります。製品の荷重、周囲温度、ベルトの経年数、ベルトの伸び具合は、どれもテンション調整を必要にさせる原因です。

低テンションおよびテンションレスシステムは、テークアップ装置をまったく必要としません。実際、当社の専門家は、既存のテークアップを使用不可にするか、完全に取り去ってしまうという改造をお客様におすすめしています。どうしてでしょうか?ベルトを確実に予測どおりに駆動させるソリューションはすでにそこにあるからです。

テンションレス技術は、コンベア上にゆるく取付けられたベルトを確実に予測どおりに運転できるよう当社が開発したソリューションです。

Jim Honeycutt
Jim Honeycutt
イントラロックスThermoDrive製品マネージャー

蛇行の低減

テンションのかかった状態でベルトを駆動すると、位置決めに問題が生じることがあります。「ベルトは左右に揺れ動いてしまいがちなので、軌道を一定に保てるよう常に調整しなければなりません。」と、de Langeは言います。

「テンションは蛇行を生じさせ増幅させます。」と、Honeycuttも述べています。「ベルトシステムからテンションを取り去れば、蛇行の発生と激化をなくすことができます。テンションが低いほど、蛇行への対処は楽になります。テンションが十分に低くなれば、ベルトシステムが自力で対処できるようになります。ベルトの動作は大きく変わってきます。」

当社の低テンションおよびテンションレスシステムでは、ベルトはスプロケットとの噛み合いを保ち、外からの介入がなくても意図した軌道を循環し続けます。これが、不規則なベルト摩耗の減少と、稼働時間および信頼性の向上につながります。

テンションレスベルトシステムのメリットについてイントラロックスの専門家、Jim Honeycuttが実践的に説明します。

食品安全面のメリット

衛生作業時のアクセスを容易化

低テンションおよびテンションレスシステムでは、懸垂線ポケットにたるんだベルトがあるので、ベルト上面走行路(キャリア側)でベルトを持ち上げることが可能です。そのため、毎日コンベアを洗浄する際、容易かつ即座に、最小の労力でアクセスできます。ベルトサーキットのデザインがシンプルな低テンションおよびテンションレスシステムは、衛生的なコンベアデザインに新たなチャンスをもたらし、衛生作業時のアクセスをさらに向上します。

「それは、ブランドの保護、食品安全実績、食品安全リスク低減にほぼ直結します。」と、Honeycuttは言います。

補強帆布を排除

従来式のフラットベルトは、伸びを防止するための補強帆布が内部に埋め込まれていることがよくあります。ベルトが損傷して、帆布が露出した場合、そこがバクテリアの繁殖場所となります。

テンションレスシステムでは、OEMや食品加工業者は、補強されていない非常に衛生的なベルト材質を使用することができます。「食品に安全な無孔、熱可塑性の材質を採用できるのです。衛生的で頑丈で一体構造のデザインを持ち、液体や病原体も入り込むことができない材質です。」と説明するHoneycutt。

イントラロックスが1971年にモジュールプラスチックベルトを発売するまで、コンベアベルトはどれもテンションのかかった摩擦依存のものでした。

モジュールプラスチックベルトは、金属製ベルトにつきまとう問題に対処するために発明されました。ThermoDriveベルトは、稼働信頼性を犠牲にすることなく食品安全を新たなレベルへ導くために開発されました。

なのに、今日もテンションベルトが広く使用されているのはなぜでしょう?ベルトテンションを低くできる、または、完全に取り除くことができる技術には莫大なメリットがあることを考えれば、それは謎としかいいようがありません。

Honeycuttは率直にこう述べています。「けっこう単純な話で、テンションを取り除けば、すべてが急にうまくいき、時間がかからなくなるということです。」

どんな構造のコンベアベルトが最適なのかを特定したいお客様は、当社テクニカルサポートの専門家にお問い合わせください。


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