食品加工における人手不足への対処

限られた人員で食品安全、品質、効率の水準を維持するには

黄色いジャンプスーツを着た食品安全担当者

例えば、あなたがレーシングカーのドライバーだとします。定期的なタイヤ交換のためにレース中間でピットインすると、ピットクルーの半分がいなくなっていました。限られた人数のチームが半分の仕事をするのに2倍の時間をかけている間に、ライバルたちに抜かれてしまいます。

製造業から小売業まで、世界中の企業は商品やサービスを安定して供給し、高まる需要に応えようとしています。しかし、人手不足が大きな壁として立ちはだかります。食品加工業者も例外ではありません。新型コロナウイルスのパンデミックにより、人材の確保と保持という長年の課題がさらに悪化しました。十分な数の「ピットクルー」がいなければ、加工業者は生産の遅れやコストのかかるダウンタイム、食品安全への懸念、さらには労働者の不満を募らせるリスクを抱えることになります。

食品加工業者がこうしたリスクを軽減し、限られた人員で生産を行うにはどうすればよいのか、社内のエキスパートに意見を求め、理解を深めました。

短期的な目標:効率化の早道を探る

従来の機器のままで、限られた数のクルーの負担を多少なりとも軽減するために、今すぐできることとは何でしょうか?それは当事者であるクルーに意見を求めることです。

チームの意見から改善の余地を見極める

「工場は、作業をより簡単かつ速く進めるための工夫にあふれているはずです。こうした即効性のある解決策のヒントを見出すのに最適なのは、問題に最も近い人たちです」と、Commercial Food Sanitation (CFS: イントラロックス傘下企業)オペレーション担当ディレクターのDan Schmitzは述べています。「当事者である彼らに、どの作業が一番困難なのか、どの作業が不満やダウンタイムの最大の原因となっているのか、時間とリソースを確保するために解消が最も容易なのはどの障害なのか聞いてみましょう」

「工場の食品安全チームに、品質、生産、メンテナンス、衛生の各部門の人員を確保してください」とSchmitzは続けます。「そのチームに、衛生設計チェックリストを見ながら従来の機器を評価してもらいます」

彼らは、個人的な経験を参考にしながら、設計上の問題を指摘し、改善の余地がある部分を明らかにできるはずです。

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注目のリソース:ハウツービデオ

イントラロックスのパフォーマンスサポートビデオにより、チームが一般的なベルトの問題に対処するノウハウを身に付けることができます。

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小規模なアップグレードで大きな効果を得る

些細なことに見える不満でも、思いがけず、その不満が大きな影響を及ぼしていることがあります。

「例えば、スプロケットのセットアップについて考えてみましょう」と、Intralox® FoodSafe™ モジュールプラスチック製品のグローバルR&D担当ディレクターであるKevin Guernseyは語ります。「コンベア1台のスプロケットの位置がずれていても、大きな問題とは思えないかもしれません。誰かがリセットすればすむ話です。しかし、工場のあらゆるコンベアのスプロケットを常にリセットしなければならないと考えると、急に大きな問題に見えてきます。スプロケットスペーサーと固定リングをコンベアに 装着する という、コストはわずか100ドル程のシンプルなアップグレードで、こうしたメンテナンス作業を完全になくすことがきます」

非効率な部分を特定したら、パートナーに協力してもらい、簡単な修正を行います。中が空洞のローラーをソリッドローラーと入れ替えたり、ベルトリフターを取り付けたり、イントラロックス クリーンリリースなどの工具不要のベルト取り外しオプションを使用するといった容易な作業ですみます。

適切な工具を適切な人員に割り当てることで、クルーの作業の迅速化と簡素化につながり、工場全体で人手不足を緩和できます。

コンベアシャフトのスプロケットとスプロケットスペーサー

コンベアシャフトの最適化 - コンベアの性能を最大限に引き出すために設計された部品により、スプロケットの移動が原因のベルト損傷を防止します。

チェックリストの効果を過小評価しない

製品の梱包、詰まりの除去、ベルトの洗浄など、作業が適切に完了しないと、そのまま放置してやり過ごすことはできません。再び試みてもダウンタイムがつきまといます。

チームが適切な作業の手続きと優先順位を確立し、それに基づいてトレーニングを行い、順守することで、運用効率と製品品質を保ちながら、二度手間をなくすことができます。

ピットクルーの規模に限りがあっても、各メンバーが期待された作業を期待されたタイミングで正確にこなす、シンクロしたユニットとして機能することで、作業はより速くなるのです。

長期的な目標:将来を見据えた生産を確立する

長い目で見れば、人手不足を解消する最善の方法は、人の介入が少ない工場やプロセスを設計することです。生産、メンテナンス、衛生の各部門において、洗浄が容易で、故障が少なく、人の手があまりかからないレイアウト、機器、素材を選択してください。

つまり、ピットストップの回数が少なく、それほど複雑な作業を必要としないレーシングカーを設計するわけです。

工場を取り壊してゼロから設計し直すことはできないでしょうが、時間の経過とともに機器の交換やアップグレードを行う際に、こうした設計原則を優先させることは可能です

イントラロックスチームのヒント:適切な衛生設計を選択することで、機器を迅速かつ容易に洗浄できるようになります。

衛生手順を簡素化する

食品加工では、高い製品品質と安全性を確保するために衛生作業員が重要な役割を担っています。しかし、そうした作業は工場で最も難しい部類に入ります。衛生作業は時間外に行うしかなく、労働条件も過酷です。人材の雇用と保持が最も難しい部署と言えるでしょう。

ベルトリフターから組み込み洗浄 (CIP)システムまで、コンベアを容易に洗浄できるように意識的に設計しましょう。衛生作業員の作業効果を高めるだけでなく、効率の向上を目指します。つまり、より少人数の衛生作業チームで、より迅速に、広範囲を担当できるようにします。

運用の一部を自動化する場合は、製造プロセスばかりに注目して、機器の洗浄方法を軽視しがちです。優れた衛生設計は容易ではありませんが、衛生担当者にとっては重大な違いとなり、工場の食品安全性を確立することができます。

Dan Schmitz
Dan Schmitz
オペレーション担当ディレクター、Commercial Food Sanitation

衛生作業員の仕事を容易にすることで、定着率が向上するという副次的なメリットも得られます。

熟練した人材を育成する

「自動化にはトレードオフがあります」とGuernseyは言います。「人材確保のプレッシャーを緩和するためにテクノロジーに投資すると、メンテナンスクルーが整備作業を確実に行うためのトレーニングにも投資しなければなりません」

パートナーが提供するトレーニングプログラムを活用することで、既存の人材チームに必要な専門知識を習得させることができます。労働市場からスキルを備えた、限られた人材を苦労して獲得するより確実です。

単独で取り組む必要はない

このような人手不足が続くと、食品加工業者は、プロセスの最適化、作業の簡素化を行い、工場作業員がより少ない労力でより多くを行える革新的な方法を見つけなければならなくなるでしょう。しかし、この困難な課題に単独で立ち向かう必要はありません。大規模な設置作業から、小規模なアップグレードやプロセスの改善まで、イントラロックスを始めとするパートナーが皆さまをサポートします。運用を可能な限り自動化し、最も重要なタッチポイントの分野に人材を割くことができます。


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