熟練したメンテナンス要員と作業要員を継続的に確保するには

成功につながるトレーニングプログラムの要点を適用する

熟練のメンテナンス業務を議論するNEXT 2023の専門家パネリスト

最近Forbesに掲載された記事によると、米国の製造業界における最大の課題は、熟練労働者の雇用と定着です。 

イントラロックスでは、世界各地でこの問題に直面しています。熟練労働者の世代、および新たな労働者を訓練する見習いシステムも、彼らの退職や離職で失われてしまいました。 

自動化の導入が進んでいるにもかかわらず、製造業、特に食品加工業では、今も労働者が必要とされています。自動化システムには、過去に存在しなかったスキルを持つ現代の労働者が必要です。そのため、最新の産業機械を操作し、修理できる有能な従業員の不足が深刻化しています。

将来的にも万全な従業員を確保するには、トレーニングが不可欠です。従業員に適切なトレーニングを提供することで、彼らは自信を深め、定着率が向上します。さらに、コンベアシステムで作業する人員のスキルセットが向上すると、想定外の稼動停止時間を最小限に抑え、異物リスクを削減して、食品安全を最適化できます。

最近のLinkedInの調査によると、従業員の94%が、スキル向上の機会が提供されれば現在の仕事を長期間続けると答えています。

「チェックボックスに印を付ける」だけに留まらないトレーニングプログラムの開発は、とても困難なタスクです。今年初めに開催されたNEXT 2023には、多くの食品業界のリーダーが集まり、このような課題を話し合い、ベストプラクティス(成功事例)を共有しました。 

以下に、成功につながるトレーニングプログラムの要点をご紹介します。 

経営陣と工場管理者を取り込む 

まず、施設でトレーニングに欠落がある部分を特定します。次に、トレーニングニーズを会社の優先事項と目標(想定外の稼動停止時間の短縮など)とどのように結び付けることができるかを検討します。次に、トレーニングプログラムの実施時に上級レベルの管理者を取り込むことが重要です。

「トレーニングプログラムを作成する工場を担当した際に、工場長、メンテナンス管理者、設備管理者と共に取り組みを開始しました」と、Tyson Foods社の元社員であるDavid Patty氏は振り返ります。「施設で今後の路線を打ち出すためには、経営陣を「取り込む」必要があります。経営陣は持続可能性に不可欠な推進力です。トップレベルを取り込まないと、取り組みは徐々に勢いを失ってしまいます。」 

パネルスピーカーのDavid Patty氏が語る

複数の学習機会で成長パスを構築する 

2人のパネリストは、メンテナンス担当者に、スキルに基づく「レベル」を設定していると説明しています。技術者を1~5段階などでランク付けすることで、昇給を目指して次のランクに上がろうとする動機づけになります。昇進プロセスの一環としてトレーニングが必要な場合には、スキル向上とキャリア開発を関連付けることで、チームメンバーの向上とレベルアップを促進することができます。 

「昇進を強く希望する従業員には、リーダーシップの機会を提供します。これには通常、他の人をトレーニングすることが含まれています」とWells Enterprises社のCassie Adams氏は語っています。「単に機器の操作やメンテナンスを行う代わりに、その方法を他の人に指導させるのです。これにより、自分の価値を自覚し、自分のスキルが現場で違いを生み出すことを実感できます。」 

JLL Work Dynamics社のBrendon Russ氏は次のように付け加えています。「従業員が組織内で上を目指し、自分の能力向上を図ることができる踏み台、すなわち昇進の道としてトレーニングプログラムを用意することは、良い動機付けの要因となります。また、能力に応じてさまざまなレベルがあることを会社が理解していると、従業員に示すこともできます。ポイントAからポイントBに移行し、レベルをすべてクリアしたら、その施設の主任E&I(電気および計装)技術者に到達するように従業員をサポートできます。

トレーニングが若年従業員の業務にどのような意味をもたらすかを説明するパネリストのBrendon Russ氏

他に何ができるでしょうか? 

  • メンタリング: 勤続期間の長い、信頼できる従業員がいれば、メンタリングまたはシャドウイング(仕事観察)プログラムを作成し、スキルの高いチームメンバーと経験の浅いメンバーをつなぐことができます。 
  • クロストレーニング: 従業員にスキル習得の機会を設定し、他のスタッフが実施する業務を遂行させることで、チームとしての能力を開発します。 
  • ファストトラッキング: 出世コースにふさわしい従業員に階層システムを柔軟に対応させます。レベル4の技術者がレベル6のスキルセットを実証した場合には、その技術者を昇進させて、スキルにふさわしい給与を受け取れるようにします。

これは定着のためのツールだと信じています。優れたトレーニングプログラムがあれば、従業員の定着につながります。

David Patty氏の顔写真
David Patty氏
元Tyson Foods社、メンテナンス・冷凍トレーニング担当副取締役

変化を推進する「チャンピオン」を特定する 

食品加工業界が、メンテナンススタッフやオペレーションスタッフのスキル開発に対して、主なサプライヤーやパートナーからどのようなサポートを得ることができるかを、パネリストに質問しました。 

Taylor Farms社のRich Grasser氏は次のように語っています。「当社は主要サプライヤーと連携して、「トレーナー研修」を実施しており、高い効果を確認しています。当社はイントラロックスとも頻繁に連携して、CFS[Commercial Food Sanitation]トレーニングを何度も実施してきました。これにより、衛生、生産、メンテナンスを1つにまとめています。これらの要素は気体、油、水のようなもので、通常はうまくまとめることができません。当社では、CFSとイントラロックスの支援により、このための有効な方法を見つけることができました。」 

「当社では、過去6ヵ月間にベルトコストを5万ドル削減しました。大成功と言える成果です。専門家に機器の点検方法について指導を受けましたが、これが大いに役立ちました。稼動時間が大幅に延長され、部品の使用も削減できました。我々はスケジュールどおりに始めて、処理能力を向上させました。やる気も向上しています。従業員にトレーニングを提供しているため、彼らにチームの一員としての自覚が育っています。」 

ベルトコストの削減を説明するパネリストのRich Grasser氏

METTLER TOLEDO社のRob Rogers氏は次のように説明しています。「当社のプログラムは『チャンピオントレーニング』と呼ばれています。このプログラムでは、組織がチャンピオンを数名選び、当社の施設に派遣します。施設内でセッションを実施し、当社の顧客が人員をこの施設に派遣してトレーニングを受けさせ、自社に帰ってからこれらの人員がトレーニングを実施することで、習得した事柄を組織全体に拡散させます。」 

「当社のサービス技術者からトレーニングを受けた顧客の多くが、成功を収めています。訓練を受けた顧客側のメンテナンススタッフが当社のサービスホットラインに電話をし、当社の技術者と話をすることで、現場に人員を派遣して問題を解決することなく、電話で問題を解決できることがよくあります。そのため、時間を大幅に節約できます。当社は、顧客が機器を自分で修理することで、必要な場所で生産性と効率性を維持できるようにすることを、強く支持しています。」

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NEXT 2023のパネルディスカッションで、洞察と経験を共有いただいた専門家の皆様に心から感謝いたします。

  • Cassandra(Cassie)Adams氏: Wells Enterprises社、トレーニング・能力開発プログラムマネージャー
  • Rich Grasser氏: Taylor Farms社、エンジニアリング・施設・メンテナンス担当取締役
  • David Patty氏: 元Tyson Foods社、メンテナンス・冷凍トレーニング担当副取締役
  • Robert(Rob)Rogers氏: METTLER TOLEDO社、食品安全および規制担当シニアアドバイザー
  • Brendon Russ氏: JLL Work Dynamics社の南北アメリカ支社、南北アメリカ信頼性&アセットマネジメントエンジニアリングサービス担当主任

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